2024年度実施内容概要


(1) テーマ1:BIMオブジェクトの標準化

a. 試験研究の具体的内容(設立時を一部修正)

 BIMオブジェクトは、建築物を構成する部材・製品・機器等をBIMでモデル化したものであり、形状(情報)と属性(情報)で構成される。形状(情報)は部材等の3次元の形であり、属性(情報)は、性能、種別、法令、仕様、耐久性、コスト等である。
 建築プロジェクトでBIMを利用する場合には、このBIMオブジェクトを作成し、また繰返し利用するが、従来は個々の企業でBIMオブジェクトを作成しており、情報の配列・定義が不統一のため、円滑な情報 連携ができなかった。そこで主に属性(情報)の標準化を図り、円滑な情報連携と生産性向上を図るものである。
 前身のBIMライブラリーコンソーシアムにおいて、2018年10月にBLC BIMオブジェクト標準Version1.0を合意・確立し、2023年12月にBLCJ BIMオブジェクト標準Version2.0(以下「標準Ver. 2.0」という。)を公表した。テーマ 3に関連する検討箇所もあること、対象製品範囲を拡大する必要があることから、さらに標準化を進め、情報プラットフォームのルールとして適切なものを目指す。

b.令和6年度(2024年度)の実施予定内容

・標準Ver. 2.0の建築分野、設備分野について、空間等未整理部分の検討・整理及び対象範囲の拡充(一部※)
・標準Ver. 2.0の建築分野、設備分野について、2023年度公表内容の普及を行う。
・目標の達成状況の確認・課題の洗い出し

c.令和6年度(2024年度)に目指す成果

・標準Ver. 2.0の未整理部分の検討・整理(一部※)
・2023年度に公表した内容の普及
・目標の達成状況の確認・課題の洗い出し

(2) テーマ2:BIM ライブラリの構築・運用

a. 試験研究の具体的内容(設立時を一部修正)

 建築プロジェクトでは、発注を境に、建物を構成する個々の製品等が一般名称から企業の固有な製品に変化する。このためBIMライブラリで扱うBIMオブジェクトも、ジェネリックオブジェクト(一般名称)とメーカーオブジェクト(製造企業、型式等が 特定)が必要である。このうちジェネリックオブジェクトは当該研究で作成し、2023年12月に試験用ライブラリサイトのデモ動画を公開し、試験検証と利用者の意見収集を開始した。
 またオブジェクトの提供、蓄積を行うBIMライブラリは、幅広く利用できるよう、配信環境の設定、拡張性やセキュリティへの配慮を行うとともに、運用に必要な規約類、モニタリング体制 等の整備を行う。

b. 令和6年度(2024年度)の実施予定内容

・メーカー、BIMベンダー、民間ライブラリサイトとの連携のもと、ポータル的な役割の試験用BIMライブラリサイトの検討
・研究成果等の知的財産の保護・活用等に必要な関係規約類の整備
・空間等の建築確認に関係する標準Ver. 2.0を含むオブジェクト等の整備(※)
・目標の達成状況の確認・課題の洗い出し

c.令和6年度(2024年度)に目指す成果

・試験用BIMライブラリサイトの試行運用結果の整理と課題整理
・BIMライブラリサイトの運用、研究成果の知的財産の保護・活用等に必要な規約類の整備
・空間等の建築確認に関係する標準Ver. 2.0を含むオブジェクト等の整備(※)
・目標の達成状況の確認・課題の洗い出し

(3) テーマ3:BIMによる円滑な情報連携の実現

a. 試験研究の具体的内容(設立時を一部修正)

 設計から施工、施工から維持管理に円滑に情報が伝達できるよう、受け渡し・情報入力ルールの明確化とオブジェクト標準への反映を研究するとともに、現在、BIM導入を検討中等で、導入効果が大きいと考えられる分野(例:建築確認申請、仕様情報等)でのBIM活用を図るため、必要な情報連携技術の検討、標準の見直し等の環境整備を行う。

b.令和6年度(2024年度)の実施予定内容

・複合用途、より規模の大きな施設に関する入力基準書・標準Ver. 2.0を反映する標準参考テンプレート・設計者チェックリスト等の改良(※)
・BIMと仕様情報との連携の段階的拡大
・引渡し、維持管理・運用の標準化に向けた情報収集・整理
・目標の達成状況の確認・課題の洗い出し

c.令和6年度(2024年度)に目指す成果

・入力基準書・標準参考テンプレート・設計者チェックリスト等の改良 (※)
・仕様情報との連携の段階的拡大(特記仕様書等)
・引渡し、維持管理・運用の標準化に向けた情報収集・整理
・目標の達成状況の確認・課題の洗い出し

(4) テーマ4:周辺領域との連携技術

a.試験研究の具体的内容(設立時)

 BIMは、今後周辺領域・技術と連携しながら発展する可能性がある。このための情報収集、連携可能性検討等を行う。またBIMで新たに解決可能性が 広がる分野も検討を広げる。
 具体的には、GIS、都市づくり、IoT、ビッグデータ、AI 等において、建築物でも連携・活用しやすい環境構築を図るとともに、設計から施工、建物所有者への設計意図の伝達等が考えられる。

b.令和6年度(2024年度)の実施予定内容

・周辺領域の技術開発に関する情報収集を引き続き実施する。

c.令和6年度(2024年度)に目指す成果

・周辺領域の技術開発に関する情報収集整理

注:※印は繰り越されたR5補正予算(補助事業)による執行予定を示す。


研究実施体制

役職氏名所属
技術研究組合理事長奥田 修一建築保全センター 顧問
プロジェクトリーダー寺本 英治建築保全センター 理事
在り方部会部会長安田 幸一東京工業大学 名誉教授
副部会長山下 純一(一社)buildingSMART Japan 代表理事
ビジネスモデルWG主査山下 純一(再出)
ライブラリWG主査寺本 英治(再出)
オブジェクト在り方検討WG主査安田 幸一(再出)
モニタリングWG主査(未定)
建築部会部会長志手 一哉芝浦工業大学 教授
副部会長岩村 雅人工学院大学 教授
属性情報WG(建具)主査石川 隆一(株)梓設計
属性情報WG(器具)主査家原 憲太郎(株)山下設計
属性情報WG(空間オブジェクト)主査菅原 雄一郎(株)石本建築事務所
情報活用WG主査石田 憲(株)日建設計
建築アドオンWG主査糸島 光洋(株)佐藤総合計画
構造WG主査大越 潤清水建設(株)
設備部会部会長一ノ瀬 雅之東京都立大学 准教授
副部会長
機械設備オブジェクト作成WG主査
吉原 和正(株)日本設計
副部会長
電気設備オブジェクト作成WG主査
吉永 修(株)日建設計
設備WG主査焼山 誠(株)大林組
BE-Bridge WG主査谷内 秀敬(一社)buildingSMART Japan
新菱冷熱工業(株)
運用部会部会長山本 康友東京都立大学 客員教授
連携部会部会長山本 康友(再出)
副部会長吉田 哲(株)日建設計
建築確認WG主査寺本 英治(再出)
仕様情報WG主査山口 浩史BIMライブラリ技術研究組合
事務局研究部長山口 浩史(再出)
担当山中 隆BIMライブラリ技術研究組合
担当福島 孝治BIMライブラリ技術研究組合
担当渋田 玲BIMライブラリ技術研究組合
担当野瀬 涼音BIMライブラリ技術研究組合